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(引用)デジタル地図 新築や空地も リビュー「グーグルのすき間」提供
スタートアップのReview(リビュー、大阪市)は様々な街の変化を3カ月ごとに更新するデジタル地図サービスを始めた。グーグルマップなど無料で利用できる既存サービスではほとんど検索できない新築物件や空き地などの情報を提供する。情報は高齢者らの契約調査員が街歩きして集める。企業が営業先の開拓や市場調査などで活用することを見込む。 駐車場情報などを既存の無料デジタル地図サービスよりも細かくカバーしている 新サービス「macci(マッチ)」は、既存の無料デジタル地図サービスではカバーできない街の最新情報を人海戦術で集めて提供する。マンションや戸建て住宅などの新築物件情報のほか、店先に張り出されている求人の貼り紙や空き地、月決め駐車場などの情報が対象だ。 情報の更新頻度は新築物件と求人貼り紙が3カ月、空き地と月決め駐車場が6カ月だ。「駐車場など一分野に特化したサービスは存在するが、様々な街の変化をトータルで提供するビジネスモデルは珍しい」(藤本茂夫社長)という。 サービスの提供地域は大阪市中央区、北区、福島区、西区、淀川区の大阪5区と、東京都千代田区や港区などの東京6区。これまでに累計で空き地5万件、新築物件3万件、求人1万6千件の情報を提供してきた。 駐車場情報や空き地情報など既存サービスがフォローしきれていない分野の情報量が強み。例えば「大阪市西区 月決め駐車場」で検索した場合、既存の無料サービスの場合は17件だったが、同社のサービスは308件が表示される。 19年6月にはオフィスビルの入居企業の情報提供も始める。調査員が実際に各オフィスに足を運び、入居する企業名や電話番号などの情報を調べる。地図上に表示されたビルのアイコンを選択すると、入居企業を一覧できる。サービス開始時点で首都圏や関西地方を中心に100万社程度の掲載を目指す。 月額は2万9800円(税抜き)から。ビルの入居企業を検索する新サービスも利用する場合は1IDあたり月額1000~1500円上乗せして販売したい考えだ。 主に企業に売り込む。利用企業は街の変化で生まれるビジネスチャンスを発見できる。生命保険会社やケーブルテレビ会社が新規契約先の開拓に利用しているほか、ホテル業者やマンション業者が用地を探すのにも活用している。「マンション用地やホテル用地を探す際は現在駐車場になっている土地もターゲットになるため、駐車場情報のニーズも多い」(同社)。求人情報はネット求人広告会社が顧客開拓に利用している。 情報収集は高齢者や主婦らの契約調査員300人が担う。時給は千円から。調査員が歩いたルートが全て記録されるシステムを構築し、複数の調査員が同じ道を調べる無駄をなくせる。19年4月には調査員を1.5倍の450人程度に増やす予定で、19年中にカバー地域に神奈川県も加えて3都府県の26市区に拡大する。将来は一部情報の更新期間を1カ月にすることも目指す。 新サービス「マッチ」の契約企業数は19年度に188社となる見通しで、20年度に480社を目指す。カバー地域の拡大などで20年度のマッチの売上高を19年度見込み比倍の3億3千万円に引き上げたい考え。 Review(リビュー) 人材派遣会社出身の藤本茂夫氏が2016年に設立し、18年秋からサービスを始めた。高齢者や主婦を中心とする調査員300人規模のネットワークを持ち、様々な街の変化を収集できるのが強み。調査員が現地の写真を撮影してアップするため、利用者が現地の風景を確認できる点も受けている。18年度下半期に大阪市が手掛けるスタートアップ企業の育成プログラムに採択された。19年度の売上高は1億6千万円の見込み。 ■地図情報の関連市場、18年度は934億円 調査会社の矢野経済研究所は、2018年度の国内の位置・地図情報関連市場が934億円となると予測する。スマートフォンの普及で誰もが手軽に地図や位置情報を利用できるようになったことを背景に、14年度から47%増加する。 位置・地図情報の関連市場を巡っては、デジタル地図に交通渋滞などの新たな情報を加えて提供するサービスや利用者の位置情報に基づいた広告配信、タクシーの配車システム、行動分析など幅広い分野で成長が期待されている。グーグルマップなどデジタル地図のメガプラットフォームとは差別化したリビューの「マッチ」のような新サービスの登場も市場の拡大をけん引する。 こうしたサービスの基盤となる業務用のデジタル地図も需要が増加している。グーグルマップなどにもベースとなる地図データを提供するゼンリンはカーナビゲーションや宅配業者向けなど業務用デジタル地図のニーズが拡大しており、19年3月期の連結売上高が過去最高になると見込む。